雪が降った日 ちらほらと、雪が柔らかく地面に舞い降りて一夜過ぎれば雪野原で真っ白な世界が広がっていた 上着を着るのもそこそこに外へ飛び出した。 「うわぁ〜―――」 朝っぱらだというのに、大きな声を出して…まだ、何の足跡もついてない真っ白な雪の上を駆け回って 足跡を付けまくった。 雪まみれになって、良いことを考えついたと…仲間達を呼び出したが、どういうわけかカイ以外は用事が入っていて 来れないと、酷く残念そうに断られてしまった…。 「…木ノ宮、呼び出して何のようだ」 相変わらずの、仏頂面にカイはこの寒い中を流石に上着は着ていたが歩いてきてますます不機嫌な様子だった。 「雪だるま…作ろうと思ってさ、おっきな奴…」 だから、レイやマックス達も呼んでみたけど断られちゃって首を振った。 「断る…誰がこの寒い中…」 つき合えるかと、言おうとして向き直ればションボリとしたタカオの顔…それ以上の言葉に詰まり… 仕方なく、妥協案的に…。 「居るだけは、居てやる…だが、作るのにはつきあわんぞ」 とりあえず、せっかくの楽しい時間をつまらない時間で終わらせないですみそうだと言うことに タカオは、にっこりと笑って。 「あぁ、いいぜ…」 こくりと頷いた。 それからの作業は、やはり雪玉作りなのだ転がすにはある程度大きく作らないといけないらしく…バタバタと駆け回る様が どこか、元気の良い犬を思わせる。 「あ〜、もう、また割れた」 どうやら、大きな雪玉を最初っから作ろうとして苦戦している様子だった。 雪玉はすぐに、力の均衡を崩して崩れ去る。 「こうやるんだ…」 手伝ってやる気など、更々なかったがここまでみてるといい加減…それくらいしてやっていい気もした…。 小さな、雪合戦ほどの玉を固く固く固めて…タカオに渡した。 「…ありがと、カイ」 すって、ちょっぴり頬が赤くなって…俯いてしまった、タカオからまた離れてのんびりと見つめることにした。 こんどは、固い雪玉を中心にしてちょっとづつ雪をくっつけて力を入れて固めてぎゅぎゅって雪の鳴る音がして しだいに、大きな雪玉になっていった…。 「ふぅ〜、そろそろ転がせるかなぁ〜」 一息ついたみたいに、袖で汗を拭ってタカオはカイ視線を向けた。 「あぁ、いいんじゃないか…」 そう言って、頷いてやるとタカオは嬉しそうに笑ってまだ雪だるまにはほど遠い雪玉を雪の上に転がし始めた…。 「んしょ…んしょ…」 だんだん重くなっていく雪玉を、懸命に転がして…流石に、このまま見てるだけでは…と、思い仕方なしに その、人では重そうな雪玉を一緒になって転がしてやることにした。 「ふぅ〜、できた!」 タカオは、嬉しそうな声を立てて…にこにこと、満面の笑みで笑っていた。 寒いはずのこの時期に、熱いほどで…結構な、労働だったことを思い知る。 「…良かったな」 そう言ってやれば、ちょっと驚いたように目を見開いてそのあと凄く嬉しそうに笑った。 「えへへ…」 タカオは、そのままぎゅってカイに抱きついて耳元に口を近づけて。 「なんだ、木ノ宮!?」 いきなりのことに、困惑げにカイは…。 「今日は、居てくれて嬉しかった…大好き、カイ」 耳まで、真っ赤にしてタカオはカイにそう囁いた…そして、その紅い顔を見せないように走りだそうとしたところをカイに捕まえられた 嫌がおうなしに、朱に染まった顔を見られてさらに紅くなる。 「逃げるな…」 そう、低く呟かれて抱きしめられた。 「カ、カイ…ι」 今度は、タカオが照れと気恥ずかしさで混乱してしまいカイの腕の中から逃れられずに居ると。 「これからも、側に居ろ…」 そう、耳に囁かれて強く抱きしめられた。 いつも、他の仲間が居て近づく事なんてめったになくてタカオが側に来て笑うことにいつからか惹かれ始めていた誰にでも あたりまえのように笑いかけることに苛立ちを感じながら…いつからか、特別な目で見るようになっていた。 「カイ…」 その囁きに、嬉しさを感じた。 だから、ただ抱きしめられた腕の中強くカイにしがみついて。 「うん…側にいるよ…」 ただ、言葉をもっと伝える代わりに背伸びしてカイの唇に口付けた。 「木ノ宮…」 カイはタカオを、強く抱きしめて深く口付けた。 ふわりふわりと、雪が落ちてきた優しく二人包むように白い雪は降ってくる。 雪が降った日 |
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