「カイ、お前どうしちゃったんだよ!」

 驚きで、あわてて駆け出して…駆け寄って、叫ぶように…。

「どけ!」

 冷たい瞳、突き飛ばされた床が妙に冷たくて…
ただその床に、縫い止められたように…動けなかった。

「全員で、かかってこい…」

 他の誰もが無謀だと思っていたとしても、俺は…わかってしまった
カイの持つベイがドランザーでないことに…黒き闇色のベイ。

「これだ、これが俺の求めいていた…」

 ふふふふふ…ふはははは…
カイは、嗤った…とても暗く、とても嬉しげに…。

「はははははははー…!」

 怖かった、カイが…あまりにも、変わってしまったカイが。

「俺が、求めているのは最強のブレーダー!」

 俺が知ってるカイは、こんなやつじゃなかった…。
人の聖獣を奪って…平然と…平然と…。

「カイ……」

 唖然と、立ったままで…歩いてくる、カイを見つめて。

「貴様の聖獣も、俺のモノにしてやる…」

 キサマノセイジュウモオレノモノニシテヤル……

「なんでだよ…なんでなんだ…」

 カイは、答えることもせず…去っていった。
振り返ることもなく…。

「カーイーーーっ」

 叫んだ…叫んだ…それでも、カイはふり向きはしなかった。

…俺が、必要ないってことを
はっきりと、突きつけられてしまった…

少しでも、カイは俺のことを気にっていてくれてるんではないかと…
だから、側にいることを拒まないのだと…思っていたかった。

だけど、あいつにとっては…誰でも同じだったんだ。

…最強のブレーダーになることが出来るなら。
誰と一緒でも、負けることがなければよかったんだ。

おいて、行かれた…行ってしまった。
カイがいなくて、ぬぐい去れなかったあの喪失感は…
このことを指していた?

眠れなかった…失うことが不安すぎて…
側にいられないことが…怖かった…

やっと、眠った頃には…

夢を…みた…

目覚めたときに、涙が零れた…
哀しい夢だったような気がして…いつまでも、涙が止まらなかった…

握りしめられていた手を離された、寂しさとか…
声をかけそびれてしまったときの後悔のような…

胸が痛かった…

寝坊だと、笑って言い訳したけど…

涙で、真っ赤な瞳じゃ…ばれちゃうから…。

バスに乗るときに、回りを見たけど…カイの姿を見つけることは出来なかった。



あの夢は…

カイと離れてしまうことを表してたのかもしれない…

真っ黒な夢の中に、俺は一人立ち尽くして…

そこは、右を向いても左を向いても
光がなく、真っ黒な闇…

ただ、声が聞こえた…

『キノミヤ…』

カイの声で、日頃ださないような…優しい声で。

他の言葉を語ることもなく、ただ名前を…何度も呼ばれた…。

『キノミヤ…』

「カイ…?」

回りを見渡しても、カイの姿はなくて…

『キノミヤ…』

ただ、優しく…俺の名を呼ぶカイの声。
姿が見えないことが不安で…声は、どこからも響いてきて
居場所が分からない…。

どこまでもつづく闇に

優しいカイの声…

哀しかった…辛かった…

何故だかわからないけど…

苦しかった…


好きだと言っていたら…あの優しい声で、名前を呼んでくれたかな?
離れていったりしなかったかな?


そんな言葉が、浮かんでは消えて…
頭の中を流れていった。

離れていかないで…カイ…お願い…

側にいたいよぉ…

                                       エンド
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
放たれたる闇の翼の続きです。
つうか、書きたいことは前に書いちゃったんで…
なんだか、微妙な話に…ι

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送