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Saint Cristamas
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 今日は12月24日クリスマス・イヴだ、街は日頃より活気づいて夜のネオンは耐えることがなく
光の洪水が溢れかえっている…毎年毎年、まるでお祭りのようですごくわくわくした
サンタクロースが、来るまで起きててやるんだと意気込んで夜遅くまで起きていたり
友達を呼んで、クリスマス会をやってすごく楽しくてたまらなかった。
 
 でも、今年は違うんだよな…カイと、二人っきりですごすはじめてのクリスマス…
離れていた時を思えば、凄く幸せなことだと思う。

 あの時もう、戻って来ないと思ったから、ただただ哀しくて他のこと何にも考えられなかった
あの時、俺はカイのことを仲間の枠を越えた思いで見ていたことに気がついた
側にいられたから、そんなこと気付かなくて気付いたのが失ったときだなんてなんと愚かだろう
だから、だからいいと思ったんだ…嫌われても、いいんだ…だから、好きだって言おうと思うんだ…。

『カイ…』

 側にいられないことがつらくて、でも、好きなのを伝えておかないとまた離れることになるから
だから、決めたんだ。

『なんだ…』

 帰ってきたカイは、よく笑うようになった…優しく、微笑むように笑った
仲間のことを考えてくれるようになった、前のように、つっけどんないいかたをしなくなった
カイは、変わった…。

『俺、カイの事が…好きなんだ…』

 うまく笑えたかな、泣き出しそうな気分で、笑うのが辛かったでも、泣き顔なんて
見せたくなかったし、覚悟はしてたけど…。

『木ノ宮…?』

 いきなり、何を言い出すんだとでも言うようにカイは首を傾しげたように少し不思議そうな顔をした
だけど、それ以上の言葉を持たない俺は…突拍子もない行動に出た。

 好きだよ…

 だから、その思いを込めてカイの唇に自分の唇を触れさせた。

『大好き…』

 カイは、驚いたように目を見開いて…俺を見た…
後悔しないつもりだったけどつらかったな、だから、逃げ出すようにぐるりと後ろを振り向いて
駆けだそうとしたところを、背後から抱きとめられた。

『木ノ宮…泣くな…』

 なんで、そんな優しい言葉かけるんだよ泣けるだろ…泣きたくなかったのに…
うわぁ〜、もう涙がとまんない。

『離してくれよ、カイ…』

 一人で、泣けるところへいきたい静かでよけい哀しくなるようなそんな場所で
涙枯れるまで泣きたい気分だから。

『人の答え、聞かずにいくのか…』

 耳元で聞こえる、俺より低く通る声。

『……答えなんて』

 いらない…だって、聞いたら側にいられなくなっちゃうかもしれないから
嫌われてもいいと思ってたのに、そばを離れるのはこんなに嫌なんだ…。

『いいから、聞け…』

 逃れようがないほど、がっちりと抱きしめられて逃げようなんかなくて
聞きたくないのに、聞かなきゃいけない…最悪だよぉ。

『いいって…』

 俺は、子供が嫌々とするように首を振った。

『俺も…お前が、好きだ…』

 あの時は、本気で驚いたそんなこといわれるとは思ってなかったでも、凄く嬉しくて
ボロボロと、泣いてしまった…信じられなくて、嬉しくて。

 お互い、思いあっていたなんて気付かなかったと互いに笑って
まだ早い、初雪の降る中キスをした…。

 思えば、あの日からそんなに時はたってないけどカイは凄く優しくていつも側にいた
俺も、側にいたくて用もないのにカイの側にただずっといた…カイは嫌がりもせず
微笑んで俺の髪をすいてくれた。

「ふふ…」

 だからだよな、今日も一緒に過ごせるのは、あの日に言わなかったら俺達は今一緒にさえ
居なかったかもしれない、仲間で集まったかもしれないけどこんな風に二人だけで
クリスマス・イヴここに、いられなかったと思う…一緒に居られる事が嬉しい。

「なにか、いいことでもあったのか…?」

 いきなり、笑った俺を不思議に思ったのか…カイは、そう聞いてきた。

「ううん、俺が告白した日のこと思い出してた…」

 そう言えば、カイは微笑んで…。

「あぁ、そうだな、あの日も雪が降っていた…」

 サラサラとした粉雪は、今もゆっくりと降っていて…ビュ〜っと、吹き抜けた風の寒さに震えた
カイのぽけっとにつっこまれていた手が、ふわりと目の前に差しだされて俺が混乱してると
何も言わず、俺の手を掴んで、自分の上着のポケットにつっこんだ。

 俺は、笑顔になってカイにくっつくように歩いて。

「暖かい…」

 外だから、凄く寒いけど…握りしめられた手が凄くあたたかくて嬉しかった
そこで、ふと思い出した俺はどこから取り出したのかマフラーをカイの首に巻いてあげた。

 キョトとした眼で、マフラーの端を掴みあげると俺を見た。

「クリスマスプレゼント、どうせ、明日も一緒に居るんだから…」

 それに、寒そうだし…ちょっと、クリスマスには早いけどいいよな
でも、まさか俺が作ったとは思わないだろうけど…白いマフラー、カイに似合いそうな気がして
なんとなく、選んじゃったんだよな。

「黙ってないで、なんか言えよ…」

「ありがとう…」

 ありがとうか…頬が、赤くそまってちょっとカイらしくないかも
でも、喜んでもらえたみたいだし、俺はそれだけでも充分頑張ったかいがあるってもんだよな
はじめて作ったから、慣れなくて大変だったけど。

「どういたしまして」

 にこって、俺は、笑った。

「…あぁ」

 カイは頷いて、また俺達は手を繋いだ…でも、一瞬後カイの左手が小さな包みを取り出して
それを、そっぽを向いたまま俺に渡してきた。

「え、なに?」

 まさか、いきなりなにかを渡されると思っていなかった俺は思いっきり聞き返した。

「プレゼントだ…」

 そう言われて、渡された小さな包みを受け取って。

「なぁ、今開けていい?」

 俺は、嬉しさを満面の笑みに表してカイに問いかけた。

「あぁ…お前のためのモノだ…」

 カイが、頷いたから俺はその包みを開けた中には小さな小さなピアスが入っていた
シンプルで、目立つようなモノではないけど銀の台座に緋いのカイの瞳に似た石が鎮座していた
イルミネーションの光に、それは紅く妖しく光った。

「綺麗な石、カイの瞳の色と一緒だ…」

 俺は、その紅い石を光に透かして見つめた。

「お前の、髪の色によく映えると思ってな…」

 つけてやると、俺の手から、そのピアスを受け取って…耳にかかる髪を掻き上げ
柔らかい耳朶を摘みピアスの先をあてる。

「少し痛いかもしれないが…」

 そう言ったが早いか、ぴりりと耳に痛みが走ったそうして、暖かい唇が労るように
耳朶を蝕んで、血を舐め取る。

「ん、もう、大丈夫…」

 カイの唇が触れた部分が熱くて、顔も紅くなってて照れ気味にそう口にした。

「外さないでくれ…」

 カイは、小さくそう耳元に呟いて…離れた、手は繋いだままだったけれど…。

「この石、なんて言うんだ?」

 耳に付けられた、紅い石に興味を引かれて…俺は、カイに問いかけた…。

「ガーネット…」

 ガーネットなんだ…カイの瞳と一緒の色のこの石。

「ありがとな」

 俺は、満面の笑みでカイに微笑んだ耳の痛みなんてたいしたことないし
それよりも、カイがくれたモノをいつでも身につけていられることが嬉しい。

「あぁ…」

 頷くカイの手を握って、俺は駆けだしたもともと目的地があったのだそこへいくために
寒空の下、街を歩いていた。

 人通りが少ない道にはいって、俺達はやっと速度をゆるめて歩き出した
もう、少しで目的地の…公園に着くから。

「はぁはぁはぁ…ついたぁ〜」

 まだ、息が上がっていたけど…そんなことどうでもよかった。

「なにも、走らなくてもよかったんじゃないか?」

 そんなこと言うカイに、俺は思いっきり飛びついて。

「いいじゃんかよ…」

 早く見たくなったんだ、カイと一緒にこの景色を…。

「あぁ、そうだな…」

 そうして、俺達は公園の高台から街を眺めた…ホテルの夜景にも匹敵する光の宝石箱
樅の木が、まるで飾り付けられているように光って見えるこの街さいだいのクリスマスツリー
ここでしか見られない…綺麗な、景色だ。

「なぁ、カイ…」

「なんだ…?」

 また、これるかな…ここに、カイと二人で一緒に。

「ん、何でもない…」

「用もないのに、呼ぶな…」

 これるといいな…。

「また、来年…来るか…」

 その時は、本当に嬉しかった、気付いてくれて…だから、ないちまった
ぽんぽんと、リズムよくあやされて落ち着くまでずっと抱きしめててくれた。

「来年も、一緒に来ような…」

そう言って、まだ雪降る中…クリスマスツリーの下で…

約束とともに、口付けを交わした。


























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 カイタカ、クリスマス小説…あの、どうだだろうか?
今回は、わりと悩み考えて書いたのでιすこし、文がましになってきたような
気がします…気がするだけかもしれませんがι

ではでは。

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