SAROME―サロメ―

黒と白の世界

善と悪

漆黒の池

はえるシラユリ

愛しき人

貴方に口付けをしたよ…





 愛しき人の首を抱いて…
したたり落ちる血は、池を作って…毒々しいまでに純白なユリの花が咲く
闇が、全てを浸食する。

「カイ…」

 シェルキラーやボーグそして…
…全てが、俺からあの人を奪っていく…
あの人は、俺を必要としてない…簡単に、手を振り払って…去っていく。

「手に入らないのなら、壊してしまおうか…」

 そう、思い始めたのはいつからだったか…
もう、思い出すこともないだろうけど。

「カイの側に…いたかっただけなのに…」

 それさえも、いつだってあっさりと奪われて…差しだした手はいつだって
振り払われて…届かない。

 俺以外の誰も触れず、誰も見ず…俺のためにいて欲しいと
思ったことは何度もあった…
ただ、それを実行するには…貴方は、カイは優しすぎた…
何も語らない口も、閉ざされた瞳も…
開かなくなるのがいやだった…生きている姿を見ていたかった。

「それさえも、いつも誰かが奪って行くんだ…」

 仲間を、憎いと思ったことはない…
羨ましくはあったけれど…俺は、別に…いつまでも、あのままでよかった
変わることがなければ…。

「カイ…」

 生首に、口付けを送る…閉ざされた唇は…
ただ冷たくて、カイの優しさも暖かさも全てなくて…また、心が冷えていく。

「冷たい…」

 俺達は、変わってしまった…
別れて、離ればなれになって…失った…たくさんの物を…。

「なぁ、カイ…」

 お前が、何を求めてたかなんて知らないけど…
俺が、欲しかったのは…お前だったのに…
言葉なんか、要らなかった…笑ってられたらよかった…。

「もう、何もないんだ…」

 みんな、離れていったから…
壊れた俺を、誰もすくい上げられなかったから…
笑って見せても、あいつらは困ってように笑うだけ…苦しげに。

 お前の首を抱き続けてるのが、おかしいんだろう…けどさ。
晃様からのありがたきいただきもの♪

 でもな、俺はホントは壊れてしまうのを願っていたのかもしれない
だって、お前を失うくらいなら…壊れた方がいいと…
思ってしまったから…。

「殺したかった…」

 お前を、カイを…予言者ヨカナーンに恋したサロメのように…
銀の食器に血のスープ…閉じられた瞳に二度と語る事のない唇に
愛しき人の生首に口付けて…。

 手を振り払われるなら、引きずり込むしかないじゃないか…
そうして、俺がカイを殺した…。

「…殺した」

 今いるここは、精神病棟…
カイの首を抱きしめて離さない俺…右腕の取れた…カイの姿…
口から血を零す俺…。

現状を見て、理解しない奴など一人もいなかっただろう…
俺が、カイを殺して…食べた。

 涙を流しながら…カイの肉を貪った…

あの日から、お腹が減らないんだ…何も食べたくないんだ…。

 今の俺は点滴で生きながらえてるようなモノ…。
所詮、人間なんて一皮剥いたら…ただのモノだろう…。

「あはは…あははは―――っ」

 俺は、笑っていた…
とても、楽しくて仕方がない気分だったから…手から、滑り落ちて
膝の上に転がったカイを拾い上げると…優しく髪をすいて。

「大好きだよ、カイ…俺にはお前だけ…」

 俺はにこにこと笑いながら、ここにいる間に何度呟いたことか…
けして、返事が返ってくることはないけど。

 生きているときは、凄く綺麗な顔に髪で…
ふれがたかったけど、今は、触れてないと安心できなくなって…。

「くすくす…」

 やっぱり、俺の口からは笑いが零れていった…
もう結構おかしいのかもしれない…いや、元々おかしかったのかもしれない
どうでもいいんだ、ただ、カイの側にいられれば…。

もう、血の臭いにも腐臭にも慣れてしまった…
それさえも、俺にはなくてはならないモノで…時折、自分の肉さえ…
噛んで…血をなめる…。

何を愛しているというのか

俺も愛していた

闇は光に光は闇に飢えていた

言葉にすることはなかったけど

光は闇を浸食した

殺されてもいいほどに

光は闇を喰らい

お前を…

光は消えた…

もう 伝えるすべはないけど


さらなる闇が広がった

光を与えられないけど

光を失って

お前は ちゃんとわかってるはずだ

闇はただ増え続けた

闇がある限り光もあると

光はもう

お前が俺の光だったから

けして

壊したくなかったんだ

戻ることなどありはしない

はじめて 手に入れたモノを

光は闇を喰って

結局 お前を壊してしまったけど

自らさえ闇に変えたのだから

戻ってこい 貴様はそんなにやわじゃないだろう

END

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暗さ爆走中…てか、もともとこういう人だし…ι
切ない話とか…苦しい話だとか…哀しい話だとか
大好きだし…今回は、サロメを読んでみたいという
思いから書いてみたので…実際のサロメは読んだことないです。

ダーク炸裂のこのお話を…
ここまで読んでいただいて、まことにありがとうございました。


1月1日アップ…
晃様、イラストありがとうございますm(_ _)m
このお礼は、必ずやいたします…お待ちくださいませ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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