「夜咲火花」

ドッドッーーン

 空に咲くのは、色とりどりの光の粒の花火。

「スッゲー、綺麗だよなぁ」

 大きな声で、感嘆の声を漏らしているのは言うまでもなくタカオで。

「そうだな」

 小さく相づちを打つのは、やはりレイであった。

「よくこんな所見つけたな?」

 花火大会で、人混みを嫌うレイはいつのまにやら人のいない開けた場所を発見してきたらが
それが結構な穴場だったのだ。
 寝転がれば、花火が真上に見えるような絶好のポイント。

「わぁ〜」

 ドーンッという、音とともに花火があがる。

「あ、今の今の、一番好きな奴なんだよ」

 今あがったやつは、小さかったけど最後の最後に一番でっかいのがあがるんだぜ!
すっごく楽しげに、タカオはレイに話す。

「そろそろ、終わる時間だ…」

 その時、ヒューーーーッと花火がのぼって一際大きな音でドォーーーーン。

「すっげー、やっぱこれが一番でかいよな」

 火の粉が散る、空を見上げてタカオは言う。

「すごいな」

 頷くように、レイはそんな言葉を漏らした。

「おわちゃったな…」

 タカオが、つまらなさそうに呟く。

「…よし、ちょっと待ってろ」

 いきなり、そんなことを言ってレイはタカオをその場においたままどこかへいってしまった。

「待ってろって言ってもなぁ、返事も聞かないうちに…」

 待ってるしかないよな、と思いながら煙だけが残る空を見上げる…帰っていく人の声も聞こえなくなって
静かな空間が広がる。

「遅いなぁ〜」

 どこまで行ったんだ?
ゴロゴロ転がると、どんとなにかにぶつかっった。

「葉っぱが付いてるぞ?」

 頭の上から、声が降ってきた。

「あ〜、レイどこいってたんだよ」

 ちょっと拗ねたような声で言う。

「あぁ、これだ…」

 レイの手からどさっと、何かが落とされた。

「え、なんだ?」

 体を起こして、落ちたモノを拾い上げる。

「やらないのか?」

 レイが持ってきたのは、花火セット。

「…これ、買いに行ってたのか?」

 そうだとでも言うように、レイはこくりと頷く。

「せっかくだし、やろうぜ」

 タカオは、花火セットの封を開けて漁りだした。

「よーし、これにしよ…火は?」

 いつの間にか、どこからかとりだした蝋燭とライターとバケツを用意した。
タカオは川で水をくんで、レイが蝋燭に火をつけた。

「これで、出来るな」

 取り出した花火を、蝋燭の火に近づけ火をつける…。

「あぁ…」

バチバチバチ…

 勢いよく音を立てて、花火に火が移って燃えだす。

「へへ…」

 おっきい花火とは、比べモノにならないけど…なんだか楽しい。

「綺麗だな…」

「うん!」

 綺麗だと言った、レイが見ていたのは花火ではなかった…闇の中で、花火の光に淡く照らし出された
無邪気に笑うタカオの顔だった。

「…」

「あ、おわっちった」

 え〜と、次はどれにしようかなぁ?
そんなことを言いながら、タカオは花火セットをあさる。

「決めた、これにしよっと!」

 それは、花火の中でも小さく…小さなまあるい火の玉が出来る花火。

「…」

 じーっと、見つめる…。

「何だよ、レイ?」

「…変わった花火だな」

 レイは、タカオの持っている花火を指さしていった。

「ん?知らないのか、線香花火って言うんだ」

 ニコッと、笑う。

「線香?」

「違うって、線香花火だって」

 くすくすと、タカオは笑う。

「変な名前だが、俺は好きだな」

 小さな火の玉が、キラキラと火花をちらせて光る。

「うん、俺も好き」

 だって、綺麗じゃんか…空にあがる、大きな花火も大好きだけどさこの花火は昔っからなんだかとっても
好きだったんだ。

「なんか、嬉しいや」

「なんでだ?」

「レイがさ、俺と同じモノを好きになってくれたのが」

 そう言って綺麗に笑う。

「タカオが、好きなモノは何でも好きになれる」

 そういって、レイも微笑む。
二人並んで、花火を見つめる。

「綺麗だ」

「綺麗だな…」


 空を埋め尽くす、夜空の星は二人を見つめて微笑んだ。

END


…これも、結構自分がやってみたかったりすることですι
こういうこと、好きなんですよねぇ…お祭りごとが大好きvv
出かけるの嫌いなくせに…お祭り好きなんです。
花火とか、綺麗なんですけど…終わったときに、妙に喪失感が抜けないんですよね。

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