気持ちを伝える方法!


 トントントン…キッチンから、家庭の音がする。

「ふふ〜ん♪ふ〜っふふん♪」

 聞こえてくる鼻歌…ドンガラガッシャン…すさまじい音がして
俺は、急いでキッチンに駆け込んだ。

「だ、大丈夫か!?マックス!?…」

 勢いよく、キッチンのドアを開けて俺は固まった。

「いったいネ、ビックリしたヨ!!」

 そこには、腰をさすりながら…な、鍋をかぶったマックスがいて…俺の姿に気付いたとたん、照れた笑いを浮かべた。

「カイ、ソーリー。 鍋を、取ろうとしたらいきなり、転けたネ」

 苦笑しながら、立ち上がろうとしたマックスに手を貸した…。

「怪我は、しなかったのか?」

 ぱっと見た様子では、怪我はなかったようだが…と、立ち上がらせるために…ぐいっと力を入れて引っ張ると。

「っつ」

 マックスが、眉を顰めて…小さく呻く。

「腕を、捻ったようだな…」

 これくらいなら、テーピングしておけば大丈夫だろうと算段をつけ、マックスをリビングに置くと
救急箱セットをもってきて…テキパキと、手当し…綺麗にテーピングをした。

「これでいいだろう」

 思ったよりひどくなくて安心したのか、マックスはふぅっと息を吐き出した。

「ありがとうネ、カイ」

 マックスのにっこりと満面の笑みに、知らずに顔が紅くなるのを感じて…勢いよく立ち上がると。

「待ってろ…」

 それだけ言い残し、俺はキッチンに立った。
散らかった鍋を片づけて、早速料理に取りかかる…トントンと、こぎみいい音を立てて
野菜をきざむ。

「カイー?」

 リビングから、マックスの声が聞こえてきて。

「テレビでも、みていろ…」

 それだけを伝えて、こんどはフライパンで野菜を炒める…切ったソーセージも加えて
といた卵をフライパンに流し入れた…。

ジュー…ジュー…

と、おいしそうな音がして、いい香りがしてきた。
少しフライパンをふるえば、綺麗にひっくり返って…綺麗な楕円形。
色も鮮やかな、ソーセージオムレツができた。

「一品完成だな…」

 お湯を沸かして、コーヒーを作って砂糖を入れ…ゼラチンを入れて…型に入れて氷水で冷やした。
食後までにできるだろうと…思って、デザートのコーヒーゼリー。

「…」

 ラザニアの準備をして、電子レンジに入れて…それから、オムレツをもって
リビングへ向かった。

「マックス…」

 マックスは、俺の声に振り向いて、にこりと笑う。

「カイ」

 マックスの目の前に、オムレツの皿を置いて…俺は、机を挟んだ目の前の席に座りマックスに視線を注いだ。

「わぁお、オムレツネ…僕、オムレツは大好きネ!!」

 歓声を上げて、オムレツをぱくつきだしたマックスをみていると…心がほわっと暖かくなって
口元がゆるんで、気付かぬうち自然に笑みをかたどっていた。

「…うまいか?」

 ゆるむ顔そのまま、微笑んだままで、そっと聞いてみた。
味には、自分のこだわりがあるからまずくはないのだろうけど…愛しいこいつが、どう思うかなんて
わからないから、少し不安だ…。

「もっちろん、おいしいネーvv」

 おいしそうに、食べる姿そのままの答えが…言葉にされたとたん、すごく嬉しく感じた。

「そうか…」

 俺は、満足げに頷いた。

「カイも、食べるネ?」

 笑顔を直視できぬまま、オムレツに注いでた視線をどう取ったのか
スプーンで一口すくい上げられたオムレツ…まさに、あ〜ん状態で…俺は困って、視線を彷徨わせた。

…チンっ

「…すまないが、取ってくるから、待っていろ」

 ほっとして、小さく息を吐き出し…
立ち上がって、完成をしたであろうラザニアを…取りに行った。

「…カイィ〜!!」

 マックスは叫んだようだったが、あえて聞こえないふりをして…俺はキッチンへ向かった。

「うむ…」

 取り出した、それはなかなかの出来映えで…
味も悪くはなさそうだった…。

「カ〜イ〜…」

 不満げな声の主の前に、出来立てのラザニアを置けば…その声の主は、あっさりと機嫌を直す
明るくて…でも、こっちがホッとするような安心感をもってる。

「ワァオ!!」

 マックスの顔には、不満げな顔はあっさりときえて…笑顔になっていた。

「デザートもあるからな…」

 普段なら言わないような言葉も、自然に口をついて出て…照れ笑いをしそうになり…
こんな時ばかりは、自分のポーカーフェイスに感謝した。

「デザートもあるの、楽しみネー」

 マックスが、にっこりと笑った。

「急いで食べるなよ…」

 と、俺が言ったと思ったら…急いで食べ出してたマックスが、苦しそうに藻掻いて
喉に詰まったのだとわかった…
大慌てで、水をもってくると…手渡した。

ごくごくごく…

「プハァー、あぁ、ビックリしたネ」

 ビックリしたのはこっちの方だ…。

「急いで食べるなって言ったばかりだろう…」

 ちゃんと、気をつけろ…。
そうじゃないと、心配で目が離していられなくなるから…。
そんなことを思って、顔にカーッと血が上った。

「あれ?どうしたネ、カイ…?」

 キョトンと、した表情でマックスは不思議そうに…俺を見つめてきた…
たまらず、視線を逸らして…何とか取り繕った。

「な、何でもない!」

「ヘンな、カイ、ネ?」

 首を捻りながら、それでも…あっというまに、ラザニアも平らげて…
キラキラとした瞳をして。

「かぁい〜、デザート食べたいネー」

 子猫が、親に食べ物をねだるようなそんな仕草に…どきりと、胸の鼓動が跳ねた。

「あぁ…」

 俺は、スタスタと、キッチンへ行って…コーヒーゼリーをもってきた
食べている間に、冷えたそれは一応固まっていた。

「わぁ〜、コーヒーゼリーだ…さすが、カイね!!」

 もってきたミルクと、蜂蜜をかけて、黒いゼリーをスプーンですくい上げる。

「ん〜、おいしーネvv」

 はい!
と言って、差し出されたのは…コーヒーゼリー…
さっきのように、救いの船もないし…食べなくて…マックスを悲しませたくもない。
心に決めて、一口分のゼリーを…食べた。
甘かった…マックスにあわせて、蜂蜜の多いそれは…俺には、甘過ぎだった。

「カイは、良いお嫁さんになれるネ」

 料理上手だからvv
そう言われれば、悪い気がしないものの…
俺が嫁じゃなくて、お前が嫁に来るんだ…などと、見当違いな事を考えたり…。

甘すぎる、蜂蜜の味は…間接キスの代償として…
きっと、忘れないんだろうと…思ってしまった。

END


数日後…

彼らは、ハチミツよりも甘い

甘い甘いキスをしました。

おしまい


杉村 A−1様へ1900HIT!!ありがとうございます。
…リクエストにお答えできたか定かではないんですが
左丞の、文章力では…こんなものにしかなりませんでしたι
実力不足で…表現が足りない部分があると思いますが…
どうぞ、お納めくださいませ。

 

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