The drakness a wing in freed.―放たれたる闇の翼番外編―









逢いたい…逢いたい…

貴方に会いたい…

今すぐ 貴方の側に行きたいよ

声が聞きたい

どんな言葉でもいいから

貴方の声が聞きたい

涙がこぼれ落ちて

語れないことなら

語らない方がいいのかな

いつか来る終わりに

怯えてしまうくらいなら
















冷たく突き放されることが多かったけど
貴方はいつも、何か求めていたから…
俺は、どこか憧れていた。

『求めているモノがある…』

目的のために、手段を選ばないところがあるから
それは、ちょっとだけ苦しかったけど…
それでも、一緒にいられるのは必要とされているようで
嬉しかった…。

「カイ…」

呼べば、ちゃんと振り向いてくれる
それは、ちょっと不機嫌そうな顔だけど。

「なんの、用だ…」

どこか、遠くを果てなき空を眺めている…
貴方を見ていると、どこかへ行ってしまいそうで
不安になると言ったら、貴方はなんて言うかな?

「用は、ないけど…となり座っていーか?」

言ってから、ちょっと不安になった
迷惑だったかもしれないって。

「…かまわん」

俺は、隣にすとんと腰を下ろした
そして、何を言うでもなく
カイと同じように、遠くを見つめた。

「……」

静かに、時間だけが流れて
いつもと違って、静かなタカオに
妙な、違和感を感じた…。

「………」

ポツリ…ポツリ…

天から、滴がこぼれ落ちて
雨が降ってきた。

「雨…」

それでも、タカオはぼんやりと空を見つめて
カイは、立ち上がった。

「木ノ宮…」

促すように、呼びかけても…
どこか、ぼんやりとした視線が帰ってきただけだった…。

「…なんだよ、カイ?」

しばらくして、やっと返事が返ってきた…。

「風邪でも、ひきたいのか…貴様は」

眉を顰めながら言う、カイ…
でもそれは、どこか遠回しな心配だったのかもしれない。

「これぐらいで、風邪ひくほどやわじゃない…」

それでも、なんとかタカオは立ち上がって
実にゆっくりと…まるで、散歩でもしているような
マイペースで歩き出した。

「……ちっ」

小さく舌打ちして、少し強引に腕を掴んで
ずんずんとそのまま歩く…。

「カイ…痛いって……」

ちょっと、間延びした感じで
全然痛そうじゃなくて…ますます、力を込めて掴んだ。

「いいから、さっさと歩け!」

何故いらだっているのか、自分でもわからないまま
タカオの手を引いて…家まで連れて歩いた。

「カイ…カイってば……」

繰り返し名前を呼んで…
連れられるままに、家の中に入って
タカオは、カイを不安げに見つめた。

「木ノ宮…」

まるで、捨てられた子犬のような
縋るような瞳…

引き寄せられるように、朱色の唇に
口付けを落とした…
触れるだけのようにそっと。

「カイ…?」

いきなり施された行為に
瞳は、揺れて…カイを見つめる。

「……」

床を、滴で濡らしながら
また、腕をひかれてどんどん奥へ進んだ…
腕を強くひかれて、部屋の中へ倒れ込んだ。

「ってぇ〜…」

打ち付けた身体の痛みに、涙が滲んだ…。

カチャ…

小さく、金属音がして…
扉に鍵がかかった…。

「木ノ宮…」

囁くカイの声は、どこか熱を孕んで
タカオは無意識に、ずり下がる。

「…カ…イ…」

素早い動作で、足を掴まれて
逃げるすべをなくしたタカオは、不安げな様子で
答えを求めるべく、名前を呼んだ。

「貴様は、なんで…そんなに、俺の心に入ってくる…」

誰もいれたことのない俺の心に
あっさりと、入り込んできた。

「…カイ?」

真摯な瞳に、逃れるすべもないまま
見つめられるままに、見つめ返した。

「お前は、一体俺の何なんだ…」

カイはまるで、自問自答をするように
そんなことを呟いた。

「…俺は…」

俺は、カイにとってなんなんだろう
カイは、俺にとって…

「嫌いなのか、憎いのか…それとも」

好きになってしまったのか?

「俺は…お前が好きだよ…」

嫌われていても、憎まれていても
好きじゃなくても、愛されなくても…

腕の力がゆるんで…
驚いたように、カイの目が見開かれた。

「…木ノ宮?」

言葉を奪うように、タカオは
今度は自分から、カイの唇に口付けた。

「応えはいらないから…」

嫌いだって言われたら…
そうしたら、傷ついてしまいそうで。

「……」

部屋が静寂に包まれて…

「俺、帰る…」

濡れた衣服が絡みついて
暖かい部屋なはずなのにどんどんと自分体温を奪い取っていく
頭が妙にぼんやりとして…
立ち上がったとたん、崩れるように倒れかけた…。

「木ノ宮!」

カイは、あわててタカオの身体を支え
強く抱きしめた。

「あ、わるい…こけちまった…」

そういって、苦笑を零してタカオは
立ち上がろうとして
抱きしめられたままの腕から逃れようとした。

「カイ、離せよ…」

カイの腕から伝わる体温が
側にいたいと…理性を置き去りにして
望みだけが浮き彫りになる。

「愛している…」

耳元に囁くように告げる…。

ただ、気付くことを恐れていただけ
それを知って、手に入れられなかったら
叶わなかったらと…突き放すようなことも言って
傷つきたくはないと…無意識に思ったのだろう。

だが、それがこれほどに
この存在を傷つけているとは思わなかった…。

「カイ…」

タカオは、微笑んだ。

「木ノ宮…」

名前を呼んで…

抱きしめて、口付ける…

誰かを傷つけることを厭いはしない

お前が涙を流しても

お前が望まなければ

俺はお前の側へは行かない

お前を束縛して

お前を変えてしまいたくなる

だから

お前が許さなければ

俺は

お前に触れることもない



お前は俺の全て…


−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

ふぅ、ちょっとダーク…
でも、幸せかな?裏へ行きそうになったので…
一応、ハッピーエンド?にしてみました…。

これは、ある作品の番外です…
お気づきになられたかたがいるでしょうか?

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