―――夢の後

『なあ、俺、今すっげえやりたいことがあるんだけどさ』

『…』

『…あのさぁ、“それは一体なんだ?”とか、聞いてみようとか思わねえの?』

『貴様のやりたいことなど興味ない』

『…そりゃそうだけどさぁ…』

『聞いてほしいのなら、“聞いてくれ”と頼むのが本当ではないのか?』

『あ、そうか。んじゃあ、聞いてくれよ』

『…………何だ?』

『…今の間、一体何だよ?』

『聞いて良いものなのか考えていただけだ。で、何だ?貴様のやりたいことというのは』

『うん。俺さあ、世界大会の決勝が終わったらさ、この大会で会った奴等にもう一度会いに行きたいんだよな』

『勝手に行けばいいだろう。わざわざ俺に言うことなのか?』

『あのなぁ、俺は一人で行きたいんじゃねえのっ。BBAチーム皆で行きたいんだよ』

『何?』

『あ、何だよ。その以外だって顔。この大会、皆で頑張ったんだぜ。皆で行くのが当り前じゃねえか』

『俺は行かん。他の奴らを誘え』

『そうくると思ったぜ…。キョウジュ達は、誘えば多少の文句を言いながらも一緒にきてくれるのは、わかってるよ』

『だったら、そうすればいいだろう。何故俺まで誘う』

『あのなぁ…俺は“皆で行きたい”って言ったの。一人行かなかったら、皆になんねーじゃん。なあ、行こうぜっ』

『断る』

『何でだよー、ぜってー楽しいってっ。なあなあ、行こうったら行こうぜっ』

『………わかった。だが、条件がある』

『ホントかっ?条件って何だよ?』

『世界大会で優勝することだ』

『おおっ。絶対優勝してやるっ。絶対だからな。約束破るなよっ』

『わかったら大声を出すな…』

『っと、いっけね…。皆で、バトル以外で色んなとこ行くのか〜…。へへっ、楽しみだなーー。頑張ろうぜ、カイ』

『…(溜息)…ああ』

 

 

近くて遠い日にした約束…

あの時は、頑張れば必ずできることだと思っていた

だけど、今はどうかな?

この約束は、いつ果たしてもらえるのかな…?

 

 

「あ゛?」

夢から突然覚めたせいなのか、視界に広がった見慣れない天井の模様に、俺は一瞬ここがどこなのかわからなかった。

「あ、そっか。ホテルに泊まってたんだよな…」

少し覚醒した頭を使い、呟く。

今、世界大会決勝のためにロシアに来てたんだよな。

そんな感覚、全然ねーけど。

「いつの間にか、寝てたんだな…」

夢を見たってことは、寝てたんだよな…いつ眠ったのかわかんなかった。

ボンヤリと辺りを見回すと、他の仲間たちはもう起きたみたいだ。

部屋にいないってことは、飯でも食いに行ったのかな?

滅多にないことだけど、全然腹減ってない…でも、起きたからには顔くらい洗わなきゃな。

よいせと、いつものように腹筋使って起きようとするが、うまく力が入らなくて起き上がれない。

仕方なく、肘を使って上半身を起こした。

寝不足のせいなのか、目がバサバサに乾いている上に、目の周りが熱くて腫れぼったい。

ベッドの上で胡座をかいて、覚めきれない頭を覚まそうと、ブンブンと頭を振る。

「うっ」

やべっ、振り過ぎた。

眠っていたとはいえ、いつもの睡眠時間を考えると、今の俺は十分寝不足状態だ。頭を振るって行為はちょっときつかったみたいで、クラリと眩暈が襲った。

傾く体を支えることができずにそのまま倒れていく。ボスッと音を立てて、起きた時と同じ仰向けの状態になってしまった。

「ふぅ…」

頭が全然覚めてくれない。

ていうか、覚めるのを拒んでいるみたいだ。

…理由はわかっている。現実を見たくないだけだって。

右手に握られているものが何なのか、認めたくないだけなんだって。

昨日の夜の出来事は、現実じゃない。ロシアに来てからの数日間は、全て夢だったんだ、と。

「…っ」

…今の俺、完全に壊れてる。特に涙腺が…

泣きたくないのに、何で涙が出てくるんだよ?

涙を拭こうと、無意識に右手を上げた。

「!」

上げた右手の指の隙間から覗いた物を見て、俺は、ギョッと手を止めた。

青色のベイ…。カイの、ドランザー…

昨晩、手放すことができずに、ずっと握ったままだった。手放したら、現実を認めたような気がして。

でも…

「…やっぱり、夢じゃないんだよな…?」

俺の手にこれがあるのが何よりの証拠。

カイが、BBAを去った、証…。

友情など、チームなどくだらないと…BBAの存在を否定して、去っていった…

「ぅっ…」

込上げてきた嗚咽を耐えようと、口を押えて体を丸めた。

だけど、抑えようという力を超えて、嗚咽に近い声と涙が後から溢れてくる。

カイはもう戻ってこない…それは昨日のことで嫌と言うほどわかっている。

なのに、感情が、気持が納得してくれない。何故だと、何でBBAを去っていったんだと。

それに加えて、さっき見た夢が散々押し込めようと必死だった想いを溢れさせてくる。

…あれは…あの夢は、俺が勝手に描いた夢なんかじゃない。

ロシアに到着する数日前に、実際にカイと交わした言葉だったんだ。

カイと二人で話すことなんて珍しくて、前から俺の中で計画していた事をカイに提案してみた。

案の定、即答で断られたけど、俺がしつこく頼んだら渋々ながらもOKくれたんだよな…

「…く…た、じゃ…か…」

約束、したじゃねえか…ロシアチームに勝ったら、ベイブレード世界大会に優勝したら、BBAチーム皆で戦った相手に会いに行こうって。

約束、破る気かよ?それとも、もう忘れたのか?

楽しみにしてたのに…皆で、行こうって…。

なのに…

「なんでだよぉぉーー!!」

とうとう、押えきれずに叫んでしまった。

散々押えていたせいで、一度叫んでしまうと、もう声を押えることはできなかった。

泣き声を外に聞かれたくなくて、布団を頭から被る。

わかってる、こんな所で泣いても何も変わらないって。何も解決しないって。

だけど…

「ばかやろーーっ。カイのばっかやろーーー!!」

感情に任せて、カイへ向けられた言葉が次々に出てくる。

暗闇の迷路に迷い込んでしまった気分だ。

出口を見つけようとしても、明かりも何も無くて…

どうしたらこの迷宮から出ることができるのか、何も…何もわからない。

−もう、戻れないのかな?一緒に戦うこともできないのかな?

−なんでだよ…なんでだよっ?

そんな言葉がぐるぐると頭の中を回る。

どれくらいの時間が経ったかわからないけど、散々泣いて、思いっきり怒鳴ったら、少し気分が落ち着いた。

布団を被ったまま起き上がって、シーツの上に置いていた(多分、寝るときに首に掛けていたものだろう)タオルで、ようやく止まった涙や色んな物でぐしゃぐしゃになっている顔を拭いた。

起きた時に腫れぼったかった目の周りが、ますます酷くなっているような気がする。目が開けにくいや。

散々叫んだせいで喉も痛いし。

性格上うじうじするってことがあんまり無いから、気分が落ち着いて今自分がしたことを思い出したら、ちょっと恥ずかしくなった。

レイ達がいなくてよかったぜ。

そう思った途端、情けない音が俺の耳に響いてきた。

「…俺って、とことんお気楽な性格なのかな…?」

音が鳴った場所を見て、思わず言葉が出てしまった。案の定、声は掠れてたけど。

自分でもちょっと情けなくなったぞ。少し気分が落ち着いたくらいで、普通、腹が減るか?

とてもそんな気分じゃないけど、一度鳴り出した腹の虫はなかなか止みそうに無い。

「…メシ食いに行こっと」

ここでじっとしてても何が変わるわけじゃないからな。

その前に顔洗わないとなー、と思いながら洗面所に向かう。

歯ブラシに歯磨き粉をつけて口に含み、目の前の鏡を見てゲッと体を引いた。

「…す、すっげー顔…」

スゲーと言うかヒデーというか…散々泣いたせいで目の周りがパンパンに腫れてる。幼稚園の時に見た、お化け図鑑のお岩さんみたいだ。

どうりで目を開けにくいと思ったら…

「こりゃ、シャワー浴びたほうがよさそうだなぁ。皆にこんな顔見せらんねーよ」

ただでさえ、カイのことで皆気落ちしてる。

その上俺までこんな顔見せてたら、ますます暗くなるよな。

冷たいシャワー浴びたら、少しは目の腫れも引くだろうし。

だったら着替え持ってこないといけないなー、なんて思ってたら、部屋のドアが開いて聞き慣れた声が入ってきた。

「おや?タカオは目が覚めたようですね」

「でもいないネ。ご飯食べに行ったのかナ?」

「いや。まだ布団が暖かい。顔でも洗ってるんじゃないのか?」

言いながら、レイの気配がこっちに近づいてくる。

「や、やべっ」

こんな顔見られたら絶対にまずいっ。

咄嗟に服を着たままシャワー室に飛び込んで、シャワーのコックを捻った。

勢い良く出てきたお湯が、頭の上にかかる。

…ふ、服着たままなのに…でも、今はそんなこと構ってられない。

「タカオ、いるのか?」

間を置かずに、レイが洗面所のドアを開いて中を覗き込んできた。

か、間一髪セーフっ。

中に入ってきたたみたいで、擦りガラスのドア越しに、レイの姿が映る。

頼むから、このまますぐに出てってくれよ。俺今シャワー浴びてることにしたいんだから。

だが、俺の願いは神様には届かなかったみたいで、シャワー室のドアノブが捻られた。

「タカオ、シャワー浴び…て…」

言いながらレイがドアから顔を出し、俺の姿を見て言葉が消えた。

そりゃそうだよな。服着たままシャワー浴びてるんだから。

オマケに明かり付いてるから、目の周りが赤く腫れている俺の顔、丸見えだし。

「どうしたんだ?」

シャワー室の中に入ってこようとしたレイを止めようと、首を強く横に振った。

それを見たレイの足が止まる。その代わりに、問い掛けるような表情を俺に向けた。

言いたいことはいっぱいあったけど、今口を開いたら折角落ち着いた気持がまた爆発しそうで、今は何も言いたくないと、もう一度頭を振った。

俺が言いたいことが伝わったのか、レイは何も言わずにドアを閉めて出て行ってくれた。

ホッと溜息をついて、濡れたついでに、予定通りシャワーを浴びようと服を脱ぐ。

だけど、濡れたせいで服が体に張りついてて、無茶苦茶脱ぎにくいっ。

「ぬ、脱げないっ…」

悪戦苦闘しながら服を脱いでいたら、また洗面所のドアが開き、今度はマックスが入ってきた。

「タカオー、入るヨー」

「!」

もしかして、俺が言いたいことはレイには伝わらなかったのかっ?

すぐにドアが開くことはわかってたから、少しでも死角に隠れようと周りを見るが、狭いシャワー室にそんなもんあるわけない。

「ここに着替え置いとくネー」

だが、そんな俺をよそに、マックスは俺の着替えを置いてすぐに出て行った。

…何なんだ?慌てた俺は馬鹿みたいだぞ。

まあいいや。とにかくシャワー浴びよ。

着替えを持ってきてくれた事に感謝しながら、一通り頭と体を洗って、最後に冷たい水を顔にかける。

我慢できるぎりぎりまで顔に水をかけて、シャワーのコックを捻って水を止めた。

バスタオルで体を拭いて、マックスが用意してくれた着替えに袖を通す。

まだ濡れている髪の上からバスタオルを被って、部屋に戻った。

さて、皆に何て言おうか…?目の周り、まだ腫れてるみたいだから何か言われるかもな。

「…あれ?だれもいない」

部屋には三人の姿は無かった。また出かけたみたいだ。

飯食う前に何か飲もうと、冷蔵庫まで歩きながらふとテーブルを見ると、丸めてあるタオルとメモがあった。

何だ?

手にとって、メモを読んだ。

‘食料の買出しに行ってくる。俺達が戻ってくるまでに、目の腫れを取ってろ’

タオルを持ってみると、中はビニール袋に入った氷。

…嬉しくて、さっきとは別の意味で泣きそうになった。

「…へへっ」

ありがたく好意に甘えようと、ベッドに寝転がって氷の入ったタオルを目に乗せた。

ひんやりとした感触が、タオル越しに伝わってくる。

気持いい…

さりげない気使いって、結構嬉しいもんだよな。

こういう時、仲間っていいなって思う。

全部を言わなくても、ちゃんとわかってくれている。

レイ、マックス、キョウジュ…一人一人の顔を思い浮かべる。

そして、やっぱり当り前のようにカイの顔も浮かんだ。

「…カイも、俺達の大切な仲間だもんな…」

呟いた言葉は、何の抵抗もなく俺の中に落ちていった。

昨日は色々あったせいで、もう戻ってこないって思ったけど、どんなことがあってもカイは俺達の仲間だもんな。

何があっても、それだけは変わらないって思いたい。

「…やっぱ、諦めきれねーや」

頭(本当は目だけど)を冷やすと、泣いている時は全く見えなかった迷路の出口と、出口を見つけるために何をしないといけないのかが、ぼんやりとだけどわかってきた。

出口は、カイがBBAに戻ってきて、今まで通り一緒に戦うこと。

そのために何をしないといけないか…。

それは、諦めないこと。

カイに戻ってきてほしかったら、俺達は絶対に諦めちゃいけない。諦めたら、そこで終わりだ。

諦めちゃいけない。必ず、何かある筈なんだ。

カイが、BBAチームに戻ってくるきっかけを作る何かが…絶対に。

そこまで考えて、ふと、昨日のことを思い出した。

修道院に潜入し、カイと対面した時…

カイが俺にドランザーを投げる直前、一瞬…ほんの一瞬だけど、カイの表情が変わったような気がした。

何かを振り切るように、何かに決別するような…そんな顔。

俺の気のせいかもしれない。

でも、あれが俺の気のせいじゃなかったら、カイの中にもまだ迷いがあるのかも。

あの時のカイの変化に、万が一の可能性が隠れているかもしれない。

消える寸前の灯火か、蜘蛛の糸のような可能性かもしれないけど。

よしっ、レイ達が帰ってきたら相談してみよう。

冷静になって考えてみると、あのヴァルコフって人、なんかむかつく奴だよな。

昔あそこにいたからかなんかしんねーけど、カイが修道院に戻ってくるのが当り前のようなこと言いやがって…。ここまで一緒に戦ってきた仲間を、今更あいつ等なんかに横取りされてたまるかっ。

自分勝手だろうがなんだろうが、カイは俺達BBAチームの仲間なんだっ。

何が何でも世界大会で優勝して、BBAチーム5人で俺は絶対に世界を旅するんだからなっ。

「…ぜってー、取り返す」

取り返すって言葉が、なんか物を指す言い方でちょっと嫌だったけど、これが今の俺の正直な気持ちだ。

決意も新たにそう呟いた時…

「何を取り返すんですか?タカオ」

「!わぁぁっ!」

突然聞こえてきたキョウジュの声に、俺はびっくりして、素っ頓狂な声をあげて飛び起きた。

起きたことで、目の上に乗せていた氷入りのタオルが落ちる。

「び、びっくりしたー…」

「な、何おっきな声出してるノ?」

「俺達の心臓止める気か?」

いつの間にか、キョウジュ達が戻ってきていた。

向こうも俺の声に驚いたらしい、三人とも上半身が仰け反っていた。

「…み、皆いつ戻ってたんだよ?」

全然気付かなかったぞ。

「つい先程です。部屋に入ったらタカオがベッドに寝ていたので」

「ご飯買ってきたけど、寝てるのに起こすの悪いよねって、三人で迷ってたんだヨ」

どうやら、俺が寝てたと思ってたみたいだな。

目、タオルで隠してたから無理ないか…。

「独り言が聞こえたから、起きてるんだと思って声をかけたんだが…」

まあ、起きてるってわかったら、声かけるのは当たり前だよな。

「あはは、ゴメン。ちょっと考え事してたからさ。皆が戻ってきてたのわからなかったんだ」

謝って大声出した理由を話すと、なんでか三人が顔を見合わせた。

「タカオが、考え事に没頭…ですか?」

「なんか以外ネ」

「外、吹雪かないよな?」

レイ、どういう意味だよ?俺が考え事したら吹雪くのかっ?

失礼な奴だな…。

けどむっとしたのは俺だけだったみたいで、マックスとキョウジュはレイの言葉に、心配そうに窓の外を見た。

…おい?

「その心配はなさそうですね。よく晴れています」

「よかったネ〜v」

吹雪はなさそうだと今日の空模様を確認して、キョウジュとマックスがホッと胸をなでおろした。

ふ、二人共本気で心配してたのかっ?

「俺だって、たまには考え事ぐらいするよ…」

 そりゃ、普段の行いを見ている限り、そうは見えないかもしれないけど…。

「ま、まあそうですね。…所で、一体何を考えていたのですか?」

いじけた俺を見て、キョウジュが慌てて話を逸らした。

まだいじけてたかったけど…ま、いっか。丁度俺も皆に話があったし。

「ん?ああ、ちょっと皆に相談したいことがあってさ」

「相談?ナニナニ?」

「もしかして、カイのこと、か?」

さすが、良くわかってる。

やっぱ仲間っていいな。

「ああ。どうやったらカイをBBAチームに戻せるかって」

皆の顔が、パッと明るくなった。

「では、諦めたわけではないのですね」

「へへっ。昨日は修道院の中で色々あって、さ。カイは、もう戻ってこないって諦めちまってた…でも」

「デモ?」

「色々考えて、やっぱ、カイは俺達の仲間なんだって」

三人が顔を見合わせて、ホッと胸をなでおろした。

レイが、俺の顔を見て意地悪気にニヤリと笑う。

?なんだ?

「目が腫れるまで泣いたのは、無駄じゃ無かったってことか」

「!」

げっ、いきなり話をそっちに振るかっ?

「大分引いたけど、まだ目の周り腫れてるヨ〜」

マックスが、レイの言葉に便乗して俺の顔を覗き込みながら笑った。

「な、なんだよっ。いきなりっ?」

 うろたえる俺を見て、レイとマックスがにじり寄って来る。

「昨日は“もういいんだ”って言ってたのは、誰だったかナ〜?」

「“カイはもう戻ってこない”って誰か言ってたよな〜?」

二人がからかっているのはわかってたけど、俺が言ったこと改めて蒸し返すことねーだろっ。

「…っ…も、もういいだろっ、その事はっ」

俺の反論にも、二人は顔を合わせて、そしてにっこりと笑った。

「良くないよネ〜?」

「なあ?」

「〜〜っ!!」

「昨晩あんなことを言って、私達を心配させたのです。この位は言ってもいいと思いますが?」

何も言えずに唸っている俺を見て、にっこりと笑いながらキョウジュが止めをさした。

うー…何か言い返したいけど、皆の言ってることの方が正しいから何も言えない。

「〜〜〜っ…あーーっもうっ、何とでも言えよ!」

やけくそで開き直った俺を見て、三人が声を上げて笑った。

「これに懲りて、もうあんなこと言うなよ。タカオらしくなかったぜ」

言いたいことを言ってすっきりしたみたいで、飛び起きた時に落ちた氷入りのタオルを、レイが拾ってくれた。

渡されたタオルを受け取って、まだ腫れている(らしい)目に当てる。

「わかった。悪かったな、キョウジュもマックスも」

「わかってくれればいいヨv

マックスもいつもの笑顔で笑ってくれた。

キョウジュも笑いながら頷いたが、ふと、真顔になって俺を見た。

「話を元に戻しましょう。決心してくれたのは嬉しいのですが、カイをBBAに戻すのはかなり難しいと思います。タカオには何か策があるのですか?」

キョウジュの言葉に、レイとマックスも真顔になって俺を見た。

「今んとこない…でも、きっかけになりそうなものを思い出したんだ。昨日のこと全部話すから、何かできないか考えてくれないか?」

「わかった。話してくれ、昨日の出来事を」

俺の話を聞く為に、キョウジュは俺の隣のベッドに、レイとマックスは俺と同じベッドの端にそれぞれ座った。

話しながらご飯も食べようと言うことで、マックスが俺の分の袋をくれる(三人もまだ朝飯食ってなかったんだ。俺が起きた時にいなかったのは、何か変わったことは無いかと修道院の様子を見てきたんだと後から聞いた)

出来たての料理の熱さが、袋を通して俺の手にも伝わってきた。

「実は…」

昨晩の出来事を、できる限り思い出しながら三人に話した。

俺が話している間、三人は所々に質問をしながらも黙って聞いてくれた。

話を聞き終わると、何かないかと(主にレイとキョウジュが)作戦を立て始めた。

三人の話を聞きながら、窓越しに映る晴れた空を見る。

やっぱり、仲間がいるっていいよな。

俺一人じゃできないことでも、仲間が一緒ならできることが何倍にも膨らむ。

大丈夫、絶対にカイを含めた5人のBBAチームに戻ってみせる。

そして、世界大会でボーグに勝って優勝するんだ。

「タカオ、よそ見してないでちゃんと参加してヨ」

「あ、わりぃっ」

少しぼんやりしていた所を、マックスに咎められて、慌てて話の輪の中に戻った。

 

 

 

首洗って待ってろよ、カイ。

友情や仲間がくだらないなんて言わせない。

お前の目を覚まさせて、絶対に、元の5人のBBAチームに戻ってみせる。

そして優勝して、皆で世界を旅するって約束、守ってもらうからなっ。

 

 

 

 

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スミマセン。見事にアニメの進行無視してます()

このネタ思いついたのが「さらばカイ」の直後だったので、こんなになってしまいました。

だって、カイ様もう少し家出してると思ってたんだけどな…あんなに早く帰ってくるなんて…(嬉しいけど()

今回初めて一人称形式に挑戦しました。案の定、見事に文が変です。

が、直し方がわかりません()どこをどう直してよいのやら…。

メール交換のお礼のつもりで書いたものですが、受け取っていただけますか?


ありがとうございます。
こちらこそ、メール交換していただいて…その上、お礼まで…とっても、嬉しいです。
どんなに辛くても、お腹はすくし…太陽は、のぼって来るんですよね…
あんな風に、元気になれるタカオちゃんは…レイさん達のおかげとも言えますが
きっと、タカオちゃん自身が強いんでしょうね…。

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